指揮者のつぶやき

「仲良く」はなれなかったけど -中学合唱部との出会い-

静かな小さいホールの中で、
ほんの数分間、
演奏を通じて、
彼女達と繋がっているような気がして、
それだけでも、
一緒に合唱が出来たことを、
演奏が終わった後、
独り幸せに思いました。

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「大阪大学ワークショップデザイナー
育成プログラム」の受講を通じて出会った、
まなみんこと白石麻奈美さんは、
普段はプロのピアニストとしてご活躍されています。

1月頃に彼女から連絡を頂き、
「教え子が合唱部に入っていて、
その合唱部と一緒に
チャリティコンサートに出演しないか?」
という嬉しいお誘いを頂きました。

さっそく、二人で中学校に出向き、
顧問の先生にコンサートの件や、
今回の企画意図などの説明をしました。

子ども達にとっても、
普段の親しい先生との演奏だけでなく、
見ず知らずの大人と一緒に、
一つの作品に取り組み、発表するという試みは、
きっとコミュニケーションの幅を拡げる、
豊かな経験になるはず。

それに、プロのピアニストと一緒に、
舞台で作品を演奏するという経験は、
これからの部活動の励みになるはず。

そんな想いで、女声のみ10人程度の
若い合唱部と活動に取り組みました。

リハーサルのスケジュールは3回。
そのうちの一回は「顔合わせ」のような時間を設けて、
曲には取り組まず、ストレッチをしたり、
わらべうたを取り上げたりして過ごしました。

【感想の一部】
「合唱のいろいろな良さをたくさん知ることができました。輪唱は、一人では不安でしたが、みんなと歌うことの大切さを知れました。」「もっとたくさん練習して上手くなりたいです。」「最初は「蚊の歌」って変な歌だなと内心失笑しながら輪唱してみると、変な歌なのに、すごくキレイに聞こえて、必死になってしまいました。」「合唱の楽しさを色々教えていただき、これからも合唱部みんなで良い合唱が出来るようにしたいです。輪唱は、一人ではできないことなので、楽しくできました。」「今日はストレッチや、普段しないことを、楽しみながらすることができて、とても楽しかったです。歌う前にストレッチなどを取り入れてやっていきたいと思います。」「今回は、みんなで輪唱が出来て、とても楽しかったです!!」「今日は私達の合唱の楽しさを思い出しました。やっぱり人数は少ないけどみんなで歌うとキレイな声が出ていいなと思いました。」「今日は楽しく歌えたので良かったです。今日したやり方はすごく良いアイデアだなと思いました。」「蚊の歌は、暗めの曲だったけれど、みんなで重ねて歌うと、とても楽しかったです。また、その後にグループで歌うことによって、合唱の良さを知れたと思います。」

その後、2回の練習を経て、
当日、ピッコロシアターでの本番を迎えました。

写真

練習を共にする中で、
彼女達と「仲良く」なれたかと問われると、
決して、はい、と答えることは出来ません。

もちろん和かに話をしてくれる生徒もいましたが、
一般的に中学生は思春期と呼ばれる時期ですし、
練習以外で、彼女達の輪の中に入って行くことは
ちょっと躊躇ってしまったのが、正直な感想です。

(のど飴を差し入れするなど、
それなりに努力はしました。笑)

顧問の先生と微笑ましく会話している様子を見て、
やっぱり先生にはかなわないなあ、と寂しく思うと同時に、
自分の役割は、本番で彼女達に何を経験させてあげられるか、
その一点にあると考えていました。

一曲目、顧問の先生の指揮が終わり、
合唱部の並びがかわると共に、
指揮者もバトンタッチしました。

合唱部は落ち着いていました。
全員が暗譜をして、前を向いて立っています。

ピアノの美しい音色に合わせて、
リハーサルより張りのある声が出ました。

しっかりと声を客席に向けて出しながら、
と同時に、じっとこちらの動きを見てくれている。
そんな「繋がっている感覚」を持つことが出来ました。

若い演奏家達の集中力は最後まで途切れませんでした。

合唱部は客席から暖かい拍手を頂き、
自分の役割は終わりました。

演奏後、舞台裏ですぐに、ピアニストのまなみんや
顧問の先生と握手することが出来ました。

相変わらず、本番が終わった後は
彼女達と盛り上がることもなかったのですが(笑)、
舞台上でほんの数分間だけアイコンタクトを通じて
繋がりあった(ように思えた)経験は、
彼女達にとって、そして私自身にとっても、
これからの財産になるだろうと思います。

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演奏曲『楓の葉』
作曲:北川昇
作詞:みなづきみのり
演奏:芦屋市立精道中学校合唱部
ピアノ:白石麻奈美
指揮:橋爪大輔

選曲の相談にのって下さった伊東さん、
顧問の先生、そして合唱部の皆さん、
本当にありがとうございました。

実は、コンサートの二部で、
生まれて初めて吹奏楽の指揮をしたのです、、
それはまた別の話。

2014年03月09日
カテゴリ:指揮者のつぶやき


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