指揮者のつぶやき

合唱とソーシャルセンシティビティ

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合唱の練習でよくある風景として
(まあ合唱の練習に限らずですが)、
前に立つ人は熱心に話しているのに、
それを聞く側は
あくびをしたり、うとうとしている、
という状況がままありますよね。

この状態を何とか改善しようとして、
前に立つ側は話に緩急をつけたり、
色々と趣向を凝らそうとします。

でも、
そういう小手先のテクニックではなく、
練習をどうデザインするか、、を考えること。。

最近、私が感じているのは、
前に立つ「人」が悪いのではなく
(もちろん、人が悪い場合も多い)、
練習の「仕組み」そのものに改善点があるのでは、
というテーマについてです。

ワークショップを大学で学んでから、
「どのように人に参加してもらうか」、
について以前より考えるようになりました。

ワークショップでは、
グループワークの前にアイスブレイクをするなど、
参加者が自然に参加していけるような
工夫や仕掛けがプログラムに盛り込まれています。

合唱の練習でも、
「教える」「教えられる」の関係性を固定せずに、
お互いが相互に学びあえる「仕組み」が出来ないか、、。

そこで最近発明したのが、
その名も『ぐるぐる発声練習』®です(笑)

『ぐるぐる発声練習』とは、
<一人の指導者が発声練習をし続けるのではなく、
円になったメンバーが【ワーク】を回していく発声練習>です。

ルールとしては
「ストレッチ→ブレス→声だし」みたいな、
発声練習の基本的な流れは意識しつつ、
前の人が行った【ワーク】を考慮に入れて、
参加者一人一人が
即興的にトレーニングメニューを考えていきます。
そして、一つの【ワーク】に取り組んだら、
練習の進行を隣の人にバトンタッチする、
という流れです。

もちろん【ワーク】に正解、不正解はありません。
その人がその時思いついたメニューを参加者達は大切にします。

『ぐるぐる発声練習』の効果の一つとして、
「指導者と受講者の関係性をほぐす」
という点を挙げることが出来、
「回す」という行為は、
グループのパフォーマンスそのものを上げる、
という研究結果も出ているそうです。

例えば、脳科学者の茂木健一郎さんは
ソーシャルセンシティビティ」(相手を慮る能力)
という面白い考え方について紹介しています。

ーーー以下、引用ーーー
あるグループのパフォーマンスと相関が一番高いのは、
そのグループの「平均能力」でもなければ、
「一人のカリスマの飛びぬけた能力」でもない。
何が一番高かったかと言えば、
ソーシャルセンシティビティ」。
グループのメンバー同士が、
お互いにどれぐらい相手の気持ちを汲み取っているか。
会議でいえば、どれぐらい「話者交代」があるか。
一人の人がずーっと喋っているんじゃなくて、
色々な人が変わりばんこに次々喋る、
みたいなグループが結果として一番パフォーマンスが高い、
ということがわかってきた。
【youtube】時代を切り拓くリーダーたちへ

ーーー引用ここまでーーー

2

『ぐるぐる発声練習』を体験したメンバーからは
「楽しんで自主的に一人一人がやるのはすごい効果的」
「過去の練習を思い出そうとする意識が芽生えただけでも大成功」
「色々な発声法をきけ勉強になりました」
という意見や、
「発声をくるくる回されてもよくわからないので困る」
という意見を頂きました。

メンバーの学びをどのように深めるか、という点においても、
「教える」ことは(「聞く」「読む」「見る」などより)
気づきや学びが大きいと思いますし、
きっと慣れてきたら、その即興性を楽しめるのでは、
なんて思っているのですが、、、。

課題としては、
「発声練習」は回しましたが、
いざ「楽曲練習」になると、
結局指揮者が良く喋る、という点です。
これをもう少しなんとかしたいなあ、
と考えているのでした。

もちろん、
私自身の指揮者としてのスキルアップは必要不可欠ですので、
この夏は独り、ハンガリーへ修行に行ってきます!

2013年07月24日
カテゴリ:指揮者のつぶやき


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