客席によって変化する作品

昨日はエバンの練習もあり、
ワークショップデザイナー育成プログラムの小学校実習もあり、
でも橋爪は仕事で中学校公演、という
予定が重なり過ぎて、何とも残念な一日でした。

(でもエバンのメンバーから感想を聞いたり、
振り返りのメールを頂いたので、
様子は何となく伝わってきました。
ありがとうございます。)

先週は複数の中学校に行きました。
最近はずっと小学校での公演が続いていたので、
中学生の反応は新鮮で、演じていて楽しかったです。

小学生は反応が素直です。
面白ければワーッと盛り上がります。
作品のどこで笑うか、どこで静かになるか、も
劇団員はだいたい把握しています。
ですので、ほとんどの学校は
作品の「リズム」と呼応するように、
笑い、集中して、涙し、大きな拍手で幕を閉じます。

(うちの会社が20年以上同じレパートリーを
ロングランしているから、という理由もあります)

それに対して、中学校は様々です。
最初からシーンと観てくれる学校。
自由な雰囲気で観てくれる学校。
やんちゃでちょっと大変な学校。

面白いな、と思うのは、
こちら側は同じ作品をしているのに、
客席の雰囲気によって、
セリフとセリフとの「間」(ま)や、
声の「大きさ」「高さ」「スピード」などが
微妙に変化する、という現象です。

その微妙な変化の付け方によって、
客席の集中力は、本当に変わってきます。

例えば、太鼓の音が
「ドン、ドン、ドンドンドン、、、ドン!」
と鳴っている時に、役者が登場するとします。

客席が既に静かに観ているようであれば、
最後の「ドン!」の時に一緒に登場すれば、「効き」ます。

しかし、客席が少しざわついているようであれば、
「ドンドンドン、、」と鳴っている時に、
ちょっと早めに登場しておけば、
客席は「動くもの」に視線を向けますから、
早めに集中力を確保できます。

登場するタイミングのわずか0.5秒の差であっても、
現場は本当に変わる、ということを学んでいます。

セリフを言い出す「間」(ま)についても同じです。

ざわつきが収まった後にセリフを言えば、
より遠くの客席まで、言葉は届きます。
でも、ガヤガヤしている中で、
焦ってセリフを言うと、客席には聞こえず、
むしろ客席はフラストレーションが溜まり、
さらにザワザワは増大してしまいます。

(これは合唱の練習でもそうだと思います。
合唱団がザワザワしている、ということは
そこに「何か」があるわけです。
だから、そのザワザワが収まるまで、
指揮者はその様子に耳を傾けたほうが良いのでは、
収まってから、落ち着いて話し出せば、
と私は思っています。)

同じ作品をしていても、
相手によってこちら側も変化する。
演劇をしながら、そんなことを学んでいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です