先日、録画しておいたNHK「メイドインジャパン」を観ました。電機メーカーの倒産について描いたドラマで、「友情」「家族」「仕事」について考えさせられる作品でした。その中でも、登場人物の一人が「今の日本は効率を重視しすぎたために、、ナンヤラカンヤラ」と、「効率」について批判している台詞が印象に残りました。
「効率的」とは「時間を無駄なく使うこと」のような意味ですが、現代を生きる我々の周りには「効率至上主義」のような考え方が無自覚に根付いているのでは、と思う時があります。それは現在の職業「学校に行き、子どもたちに演劇を見せる」という仕事をするようになってから、特に思うようになりました。
まず、浮かび上がる疑問として「授業時間に演劇を見せる」ことによって「何を得られるのか」という根本的な問いがあります。文化庁の「本物の舞台芸術体験事業」に私も参画した経験がありますが、公演が始まる前、校長先生は子どもたちに「皆さんはご飯を食べることで身体に栄養を与えていますよね。芸術鑑賞は『こころ』に栄養を与える時間です」といったお話をされていました。なるほど、と思いましたが、一方で「こころに栄養がいったかどうか」は果たしてどう判断できるのでしょうか。・・・しかし、子どもたちと演劇を通してコミュニケーションをしている時、確かに「伝わっている」という感覚はあります。
また、会社の業務内容の一つに「稽古」があります。稽古の日は朝から退社時間まで、もう、ひたすら稽古します。同じ台詞を繰り返し繰り返し言い続け、同じダンスを繰り返し繰り返し踊り続けます。入社した当初、「効率悪いな~!」と愕然としたのですが、2年、3年と会社のやり方に反発したり、従順したり、反発したり、反発したり、従順したり、、していると、「なるほど、効率とは対極にある思想、実践があるのだな」と気づくようになりました。
さて、Ensemble EVANもなるべく「効率」という考え方から逃れて、練習をしようと私自身は思っています。「効率」を考えれば、全体練習の中に「個人の発声練習」や「パート練習」、「自己紹介」などの時間を取るのは、「非効率」でしょう。ですが、メンバーが自身を「さらけだす」、メンバーを「見守る」ことの大切さを私は強く感じています。作品を作るまでのプロセスこそに意味がある。そんなことを考えながら、今日もEVANの練習に行ってきます!