妻の誕生日に、
三谷幸喜『ホロヴィッツとの対話』を観に行きました。
調律師フランツ・モアを演じる渡辺謙さんが、
物語の終盤でピアノのEの音を調律する、
その微かな単音が本当によく響く、
それぐらい集中した客席の中で観劇出来ました。
三谷さんの作品ということで、
序盤は沢山の「笑い」が織り込まれていました。
※ ズレますが、
ホロヴィッツを演じる段田安則さんも言ってましたが、
(三谷さんが言わせていましたが、)
笑いは「緊張と緩和」。
「笑い」はセリフから起こるよりも、
「間(ま)」から起こる方が多いですよね。
ぎゅっと緊張させておいて、
適切な間を取り、
さっと緩ませたときに「笑い」は起こりやすい。
役者はその「笑い」の
「長さ」「高さ」「大きさ」を感じながら、
毎日少しずつ演技を調整しています。
これは音楽の演奏では味わいにくい、
役者に特有の舞台感覚の一つだと思います。
※ 戻ります
ストーリーが進み、
渡辺謙さんの長い独白が始まると、
それまで笑っていた客席が、
一瞬にしてシンミリしました。
そして、
「さすがプロ!すごい!」と思ったのは、
独白が終わり、
緊張&高揚している空気を
和久井映見さんが少しほぐし、
高泉淳子さんがまた少しほぐして、
そして再び「笑い」を入れる、というように
カタルシスの後を丁寧に扱っていたことです。
だいたい、つまらないと感じる芝居は、
クライマックスまでの持って行き方には迫力があるのですが、
クライマックスを終えた後の処理が粗い、
という舞台が多いように思います。
(それはまた、
音楽の演奏にも当てはまると思います。)
そんなことを考えながら、
プロの作品を楽しく見ることが出来ました。
(おかげで、財布には埃すら無い!)