『いい作品』て何?

高槻現代劇場が行う
『新進演出家短編作品公演』に、
参加者として4月から5月まで取り組みました。

若手演出家のもとに、
初心者・経験者が入り混じった
20人程の一般市民が集まり、
4つのグループに分かれて、
週一回、9回のワークショップに取り組み、
作品を0からチームで創ります。

自分は合唱の分野でこのような
『創造型・市民参加型の事業』を
公共ホールと協働して行いたい、
と思っておりますので、
参加者として演劇を楽しむだけではなく、
どういう運営でこれが行われているのか、
など、システム面でも興味がありました。

企画者の杉山準さん(演劇プロデューサー)は
イチロー似のスタイリッシュなおじさんです。

杉山さんは参加者の前で話をされるとき、
情熱的でもない、かといって、さめてもいない、
絶妙なコーディネーターの雰囲気で、
最初から最後まで一貫したテンションで
そこに存在されてい(るように自分には見え)ました。

杉山さんはとっても良い文章を書かれます。
公演のパンフレットに書かれた
『事業のねらいについて』から一部紹介します。

「発表公演が付いたワークショップでは、
とりわけその主たる目的は『いい作品をつくる』
ということになるのですが、そもそも
『いい作品て何?」という
根本的なところから作業はスタートします。
『いいと思う作品』は人によってまちまちです。
若い人の好む作品と、
ご年配の方が好む作品とは違うのは当然です。
練習の方法や、初めて会った人たちとの
人間関係も創作には影響します。
ですから、グループでそうしたそれぞれの
『思い』や事情を調整し、作品を作ってゆく作業は、
社会の中で人間が行っている作業と似ている気がします。
わたしはむしろ演劇創作を通じて、
主張したり、妥協したりしながら、
それぞれが納得できる結果に向けて
「ああだこうだ」と考え、悩むことこそが、
こうしたワークショップの醍醐味
ではないかと思っています。」

レッスンではない、ワークショップの本質を
易しい言葉で表した名文だと僕は思います。

高槻を経験する事で、
自分の合唱指揮者としての練習の中に、
グループで「ああだこうだ」と考え、
『いい作品て何?』と悩む時間を持つ楽しさをもっと
取り入れていきたいな、と思うようになりました。

「習い事」ももちろん必要ですが、
参加者の主体性を引き出すワークショップの手法を
これからも学び続けたいなあ、と思います。

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